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受験勉強の息抜き&小論文対策

元途中下車作者がAviutlからAdobeに乗り換えて1年が経ったので、その感想を述べてみる。

お久しぶりです。ブログの更新は3年ぶりくらいでしょうか。

今回は、元途中下車作者の僕が1年間After Effects(以下Ae)やPremiere Pro(以下Pr)Adobeを使った感想を述べていきます。途中下車などMAD系動画を使っている方で、これからAdobe製品の導入を考えている方の参考になれば幸いです。

1.自己紹介

このブログを読んでくださる方の大多数は、おそらく僕のTwitterのフォロワーだと想定されますので余計なお世話かもしれませんが、一応自己紹介をしておきます。

しまむらと申します。かつて「SMMR」等の名義で「大変な途中下車シリーズ」というジャンルの動画を作っていました。以下過去作です。*1


【Reupload】toyoko emotion

 


【Reupload】If Yokohama was Here

鉄道や音MADに対して興味を持てなくなったいう理由で、この類の動画は長らく作っていませんが、映像制作については他所で続けています。

 

2.Adobeに乗り換えたいきさつ

Ⅰ.Adobeを選んだ理由

さて、ここから本題に入ります。

途中下車を作っていた時は、映像編集ソフトとしてAviutlを使っていました。しかし、ちょうど1年ほど前に、AviutlからAdobe製品に乗り換えました。その主な理由としては、

(1)以前からAeをはじめとするAdobe製品に対して憧れがあったこと

(2)大学の入学祝いで高性能のPCを買ってもらい、Adobe製品を使う下地が整ったこと

(3)Aviutlに苦手意識があったこと

の3点があります。(3)については、Aviutlは標準搭載の機能が最低限であるために、必要なプラグインを適宜自分で探さなければならないという点が自分に合わなかったことが大きいと考えています。私はプラグインに限らずものを探すのがあまり得意ではないので。

これらの事項とサブスクリプションにかかる金銭的負担を損得勘定した結果、大学入学という人生の節目に、私はAdobe製品に鞍替えすることを決意しました。

Ⅱ.Adobeの第一印象

Adobe製品を使い始めた頃は、Aviutlとの操作感との違いにかなり戸惑った記憶があります。特に難解に感じたのは、「キーフレーム」という概念です。AeやPrでは、特定のフレームにキーフレームと呼ばれる点を打って画像を動かしたり、エフェクトを変化させたりするのですが、私が使っていたAviutlにはこのような概念がなかったので、慣れるのにかなりの時間を要しました。

あと、Aeで映像制作の全てを完結させるのはあまり得策でないということにも気づきました。実際に使うまでは、Aeをカットからカラーグレーディング、SE挿入や3Dシェイプモーションに至るまで、あらゆる用途に最適化された魔法のようなソフトだと思っていました。確かにこれらは全てAeにて完結させることが可能なのですが、決して全て最適化されているわけではありません。というのも、Aeはその名前が物語っているように、3Dオブジェクトや2Dグラフィックスなど複数の素材を合成する「コンポジット」と呼ばれる工程に最適化されたソフトなのです。よって、Aeは複数の素材を合成するVFXモーショングラフィックスには適していますが、カットやSE, BGMの挿入などといった、自主制作映画やYouTubeコンテンツの制作で必要とされる作業をするにはあまり向いていません。こういった作業はどちらかというとPrの範疇です。たまにAe単体のプランを契約し、Aeだけで映像制作を完結させようとする人がいるのですが、上記のような理由で個人的にはあまりおすすめできません。Aeを使うのであれば、可能ならAdobe CCを契約した方が色々と便利かと思います。LightroomPhotoshopも使えますし。

AdobeはAviutlと異なる点が多く、当初は非常に使いづらさを感じていました。しかし、使っていくうちに不思議と慣れてくるもので、今では違和感なく使えるようになりました。もっとも、使いこなせているかは別ですが・・・。

3.Adobe製ソフトを使った感想

Ⅰ.Adobe製ソフトの良いところ、いまひとつなところ

Adobe製ソフトの良いところは、なんといっても標準機能の豊富さです。Ae,Prいずれもデフォルトの状態で使える機能が非常に多いです。ワープスタビライザーやモーショントラッキング、パーティキュラーなどの機能を当たり前のように搭載しているのは流石Adobeという感じです。また、サードパーティー製のプラグインやエレメントパックが充実している点もAdobe系ソフトを使うメリットと言えるでしょう。やはり業界水準なだけあります。他にも、Adobe製ソフト間での連携(Ae⇆Pr, illustlator⇆Ae等)、あるいはCinema4Dなど外部ソフトとの連携が容易いという点や、複数人での編集が可能であるという点、業界標準であるため仕事で使える点などがAdobe製ソフトを使うメリットであると言えます。

反対にいまひとつな部分としては、やはりPCにかかる負担が大きいという点が挙げられます。これはAdobeに限った話ではありませんが、映像編集をする際にはPCに多大な負担がかかります。特に、Aeについては恐ろしいもので、一瞬でメモリが30GB食われることも珍しくありません。そのため、動作環境によっては、Adobe製ソフトを使うことがベターではないこともあります。それに比べると、AviutlはPCにかける負担があまり大きくないので、Adobe製ソフトに乗り換えるかどうかはこういった観点から考えて決めるのも良いでしょう。

 

Ⅱ. MAD系動画にAdobe製ソフトは適しているか

結論から言うと、動画のテイストに依ると思います。モーショングラフィックス的な表現を用いるタイプの動画はAeにある程度適しているし、実写動画を切り貼りして作るタイプの動画はPrに適していると言えます。途中下車については、モーショングラフィックスと実写動画を組み合わせるタイプの動画が多いので、AeとPrを使い分ける形になるでしょう。この辺りは実際に作ってみないとわからない部分もありますが・・・。

一つ言えることがあるとすれば、YTPMVについては、Adobe製ソフトを使うのがあまり適当ではないような気がします。YTPMVでは動画や画像を音に合わせて動かすという表現がメインになりますが、Aeは音響面が弱いため、いわゆる「音ハメ」にあまり適していません。逆に、音響面をある程度カバーしているPrはモーショングラフィックスに適していないので、Adobe製ソフトはYTPMVを作るにはやや不便でしょう。

4.終わりに

Adobe製ソフトは非常に高機能で使い勝手も良いため、私は乗り換えてよかったと考えています。しかし、人によっては使いにくいと感じたり、逆にAviutlなど他のソフトの方が使いやすいと感じる方もいると思うので、実際に体験版などを使ってみて比較検討するのが良いと思います。たまに「Aeを使っているから凄い」と言う考えを持っている人がいますが、これはあまりよくない考えで、凄い動画を作るから凄いのです。AviutlやBlenderなど無料のソフトで素晴らしい作品を作る方もたくさんいるので、プロフェッショナルを目指すとなると話は変わってきますが、基本的には「使いやすいかどうか」ということを軸にしてソフト選びをしてみることをおすすめします。

 

*1:過去動画は削除済なので、代わりに転載されたものを貼っています。

「大変な途中下車シリーズ」概観

こんばんは。しまむらです。

前もブログやってた気がするんですが、パスワード諸々忘れちゃったんでもう一回始めました。今度からは気をつけます。

 

「大変な途中下車シリーズ」概観

突然ですが本題に入ります。この記事では、ニコニコ動画における映像ジャンルの一つである「大変な途中下車シリーズ」(以下当シリーズ)の動画群を映像表現という観点から分類し、それを通じて当シリーズがどのように発展してきたか、そしてこれから先どうなるか、ということについて考えていきます。

ちなみに動機は何かというと、芸術にしろ学問にしろ、特徴によって必ず分類ってものがあるじゃないですか。ストア派とかエピクロス派みたいな。これと全く同じことを途中下車に当てはめてみたら面白いんじゃないかなー、と思ってこの記事を書くことにしました。

※今回は、あくまで「映像表現」という観点から動画群を分類します。したがって、音声に関してはあまり考慮しません。

 

1.古典派

まずはこれから。読んで字の如く、古風な作風の動画です。時系列でいうと、当シリーズが始まったころ、つまり、07~09年ごろに投稿された動画が該当します。また、この派の特徴としては

・概してユーモラスな表現が多く見られる(例:JR4両、ちっちゃくてかわいい津田英治など)

・ドアや列車の映像を音声に合わせて繰り返す、いわゆる「トレフル」が流行

FLASHムービーの潮流を汲み、それを彷彿とさせる作品が見られる

などが挙げられます。また、これらの作品には、当時のニコニコ動画での流行が直接反映されているという特徴もあります。

 

 「駅のホームですっぽんぽんになるのは危ないですからおやめ下さい」(作:狐光灯氏)

 

 2.素材派

2009年以降は、写真や映像といった、所謂「素材」をふんだんに使用した動画が多く見られるようになります。ここでは、このような流れを素材派と定義することにします。この中には、古典派の作品に見られたようなユーモア的な表現を一切捨象し、デザイン性を重視したものも多く存在します。当シリーズが一般的な音MADに対して「ガラパゴス化」していると云われる所以でしょうか。

「東横ディスコ」(作:いけがみ氏)

また、この頃からVegasやAviutlなどといったソフトウェアが作者側に普及し、より高度な技術を駆使した作品が投稿されるようになりました。

 

3.MG派

2013年の夏、当シリーズに大きな変化をもたらす作品が投稿されました。そう、「KWANA <近鉄電車>」です。

 

「KWANA <近鉄電車>」(作:らいむらいん氏)

 

これ以前の作品では、動画の主役はあくまで素材でした。素材を中心に動画が構成されていて、図形や文字はそれに付随する形で用いられていました。しかし、この作品では、図形や文字も、そして素材も全て動画の構成因子の一つとして用いられています。つまり、以前の作品に比べて、モーショングラフィックス(以下MG)としての要素が強くなっています。言い換えれば、「大変な途中下車シリーズのモーショングラフィックス(MG)としての可能性を開拓した」作品であるということです。

 

当作品は他の作者にも大きな影響を与え、この流れを汲む作品が多数投稿されました。これらをまとめて「MG派」と定義します。

 

4.新古典派

2015年の1月、「冷やし大島」という動画が投稿されました。

 

「冷やし大島」(作:青葉急行氏)

古典的な「トレフル」を現代風にアレンジした表現が話題となり、一大ブームを引き起こしました。このような表現は「大島テクニック」と命名され、たくさんの作者によって現在に至るまで使われています。また、いわゆる「テクニック」には作者によって様々な種類があるらしく、各作者のアイデンティティーの発現に一役買っているようです。

なお、ここではこのような表現の一派を新古典派と定義することにしましょう。

 

最近の大変な途中下車シリーズ

ここ最近は、新古典派と素材派の2つが当シリーズの流れの中心となっている印象を受けます。特に、前者はREDZONEシリーズの隆盛もあり、これから先ますます勢力を増すと予測されます。逆に、古典派やMG派は少数派になってしまっているような気がしますね。また、MG派に関しては、高度な技術派もちろん、使用するマシンのスペックも高い水準が求められるため、なかなか手を出すことが難しいのかもしれません。

 

結論

こうやって考えると、大変な途中下車シリーズみたいな規模の小さいシリーズ物でも一定の流れがあるんだなーと思いました。あと各派の命名が難しかったです(こなみ)