「大変な途中下車シリーズ」概観
こんばんは。しまむらです。
前もブログやってた気がするんですが、パスワード諸々忘れちゃったんでもう一回始めました。今度からは気をつけます。
「大変な途中下車シリーズ」概観
突然ですが本題に入ります。この記事では、ニコニコ動画における映像ジャンルの一つである「大変な途中下車シリーズ」(以下当シリーズ)の動画群を映像表現という観点から分類し、それを通じて当シリーズがどのように発展してきたか、そしてこれから先どうなるか、ということについて考えていきます。
ちなみに動機は何かというと、芸術にしろ学問にしろ、特徴によって必ず分類ってものがあるじゃないですか。ストア派とかエピクロス派みたいな。これと全く同じことを途中下車に当てはめてみたら面白いんじゃないかなー、と思ってこの記事を書くことにしました。
※今回は、あくまで「映像表現」という観点から動画群を分類します。したがって、音声に関してはあまり考慮しません。
1.古典派
まずはこれから。読んで字の如く、古風な作風の動画です。時系列でいうと、当シリーズが始まったころ、つまり、07~09年ごろに投稿された動画が該当します。また、この派の特徴としては、
・概してユーモラスな表現が多く見られる(例:JR4両、ちっちゃくてかわいい津田英治など)
・ドアや列車の映像を音声に合わせて繰り返す、いわゆる「トレフル」が流行
・FLASHムービーの潮流を汲み、それを彷彿とさせる作品が見られる
などが挙げられます。また、これらの作品には、当時のニコニコ動画での流行が直接反映されているという特徴もあります。
「駅のホームですっぽんぽんになるのは危ないですからおやめ下さい」(作:狐光灯氏)
2.素材派
2009年以降は、写真や映像といった、所謂「素材」をふんだんに使用した動画が多く見られるようになります。ここでは、このような流れを素材派と定義することにします。この中には、古典派の作品に見られたようなユーモア的な表現を一切捨象し、デザイン性を重視したものも多く存在します。当シリーズが一般的な音MADに対して「ガラパゴス化」していると云われる所以でしょうか。
「東横ディスコ」(作:いけがみ氏)
また、この頃からVegasやAviutlなどといったソフトウェアが作者側に普及し、より高度な技術を駆使した作品が投稿されるようになりました。
3.MG派
2013年の夏、当シリーズに大きな変化をもたらす作品が投稿されました。そう、「KWANA <近鉄電車>」です。
「KWANA <近鉄電車>」(作:らいむらいん氏)
これ以前の作品では、動画の主役はあくまで素材でした。素材を中心に動画が構成されていて、図形や文字はそれに付随する形で用いられていました。しかし、この作品では、図形や文字も、そして素材も全て動画の構成因子の一つとして用いられています。つまり、以前の作品に比べて、モーショングラフィックス(以下MG)としての要素が強くなっています。言い換えれば、「大変な途中下車シリーズのモーショングラフィックス(MG)としての可能性を開拓した」作品であるということです。
当作品は他の作者にも大きな影響を与え、この流れを汲む作品が多数投稿されました。これらをまとめて「MG派」と定義します。
4.新古典派
2015年の1月、「冷やし大島」という動画が投稿されました。
「冷やし大島」(作:青葉急行氏)
古典的な「トレフル」を現代風にアレンジした表現が話題となり、一大ブームを引き起こしました。このような表現は「大島テクニック」と命名され、たくさんの作者によって現在に至るまで使われています。また、いわゆる「テクニック」には作者によって様々な種類があるらしく、各作者のアイデンティティーの発現に一役買っているようです。
なお、ここではこのような表現の一派を新古典派と定義することにしましょう。
最近の大変な途中下車シリーズ
ここ最近は、新古典派と素材派の2つが当シリーズの流れの中心となっている印象を受けます。特に、前者はREDZONEシリーズの隆盛もあり、これから先ますます勢力を増すと予測されます。逆に、古典派やMG派は少数派になってしまっているような気がしますね。また、MG派に関しては、高度な技術派もちろん、使用するマシンのスペックも高い水準が求められるため、なかなか手を出すことが難しいのかもしれません。
結論
こうやって考えると、大変な途中下車シリーズみたいな規模の小さいシリーズ物でも一定の流れがあるんだなーと思いました。あと各派の命名が難しかったです(こなみ)